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常設展示作品

各作品の解説は、南砺市広報『広報なんと』内「南砺市の文化財と美術品のご紹介」というコーナーで当館学芸員が執筆したものです。(2020.4月号で当コーナーは終了しています。)


作品名

作者名 吉田荘八
制作年

1990(平成2)

材質/技法

九谷焼

規格 43cm×44cm×13cm

展示中『広報なんと2020年3月号』掲載

福野文化創造センターは3月3日で開館30年目を迎えました。館内には開館記念に寄贈していただいた作品も多く、そのジャンルは多岐に渡ります。
今回はそのなかから陶芸家・吉田荘八の「杜」という器を紹介します。
吉田荘八は石川県小松市出身の九谷焼の作家です。伝統的な絵付けの器に加え、オブジェなどの創作陶芸や、自然を題材にしたロマンのある絵付けも得意としました。
九谷焼の特徴である五彩の鮮やかな緑の中に、フクロウがこちらに向かって羽を広げている様子が描かれています。見込みの立ちあがりも含めて丸く縁取られた様子は、まるで双眼鏡を覗き込んだ景色のようです。また、葉の所々に使われている青い釉薬も、揺れる葉を思わせる見所のひとつです。
現在、ホール前の休憩スペースに常設展示していますのでぜひご覧ください。


作品名

HOKORAXXXV

作者名 長谷川総一郎
制作年

2008(平成20)

材質/技法

彫刻、木、石、真鍮、FRP

規格 151㎝×95

展示中『広報なんと2019年3月号』掲載

長谷川総一郎氏は井波出身の彫刻家です。二紀展を中心に活躍し、国外での活動も経て、富山大学名誉教授として富山県内の美術振興に尽力されています。
長谷川氏は木彫だけでなく、石やFRP(繊維強化プラスチック)など様々な素材を巧みに組み合わせて制作を行っています。また、独自の感性で現代の「祠(ほこら)」(神を祀るためのやしろ)を表したシリーズを多く発表しており、今回の紹介作品もその1つです。ねじれ、たわむ、黒い祠(ほこら)の中で静かに佇む男女像は、何かに耐えるようでありながら、どこか懐かしく、思わず足を止めたくなります。
この作品は2015年ヘリオス収蔵品展シリーズ「北陸に根付いた二紀会の作家たち」の際に寄贈いただき、現在は福野文化創造センター内の夜高行燈近くに展示しております。ぜひ、正面に立って素材の融合をお楽しみください。


作品名

福野夜高行燈

作者名 福野夜高祭連絡協議会 (担当:横町夜高保存会)
制作年

初代1991(平成3)年制作

ニ代目1996(平成8)年更新

三代目2015(平成27)年更新

材質/技法

-

規格 -

展示中『広報なんと2017年6月号』掲載

福野文化創造センターには1991年の開館以来、福野夜高行燈(横町行燈)が常設展示されています。この行燈は2015年に現在の姿に新調され、山車(最上部)は唐獅子と牡丹の花、吊り物(中間部)の前後は扇と松竹梅を飾った 酒樽と鼓太鼓を配しています。竹の骨組みに厚めの五箇山和紙を貼って蝋を引き、色彩豊かな紅を入れた行燈は、高さ約8メートルと夜高祭で練り廻される大行燈より1.5メートルほど大きく、内部には約230個の電球を備えていま す。約2力月半かけて横町夜高保存会が制作したもので、イベント開催時等には電球を点灯しライトアップ展示しています。行燈の色彩の美しさや優美な姿を是非間近でご覧ください。


作品名

北前

作者名 松村外次郎
制作年

1990(平成2)

材質/技法

ブロンズ

規格 168cm×205cm×80cm

展示中『広報なんと2015年4月号』掲載

松村外次郎は、1901年(明治34年)現在の砺波市庄川町に生まれました。15歳で現在の高岡工芸高校木工課に入学。卒業後上京し、吉田白嶺に師事。1933年に33歳で彫刻の本質を学ぶため2年間フランスに留学。帰国後は自身の信念のもと、生涯にわたって躍動感と自愛に満ちた傑作を世に送りだしました。1951年、50歳のとき二紀会に彫刻部を設立し、晩年まで名誉会員として君臨した郷土が誇る大彫刻家です。

本作品「北前」は、1990年、松村外次郎氏が89歳で亡くなるまでアトリエで制作していた最晩年の作品です。翌1991年(平成3年)3月、福野文化創造センターの開館時に所蔵しました。

「北前」は、明治33年代まで北海道から大阪を結ぶ日本海航路として就航し、物資を運んだ廻船「北前船」がモデルになっています。正面の帆柱に、藁で括られたシャケにかぶりついている小熊の姿が浮彫りにされており、愛らしくもある北の大地に生きる子熊の躍動感が伝わる作品です。


作品名

南砺歳彩2010

作者名 大野彩(みさお)
制作年

2010(平成22)

材質/技法

フレスコ画

規格 額装260cm×402cm

展示中『広報なんと2012年7月号』掲載

フレスコ画「南砺歳彩2010」は、福野文化創造センター開館20周年記念事業として「時を航るフレスコ技法と現代へのアプローチ」展の開催中に合わせ、フレスコ画研究者の大野彩さんが展示会場前の2階部分の壁面にブオン・フ レスコ(湿式画法)の技法で公開制作したものです。フレスコはしっくいの壁に顔料を定着させて絵を描く技法で数千 年にわたって鮮やかな色彩を保つと言われています。

図柄は最上部に円形劇場愛称の「ヘリオス」(太陽神)を配置し、南砺市から望む立山連峰や散居村、ツバキ、キク、ミズバショウ、ソバの花、越中一宮高瀬神社、井波彫刻の獅子頭などを繊細なタッチで描かれており、南砺の魅力が後世に残るフレスコ作品です。

大野さんは、「南砺の魅力を描いたいくつかの絵が風に舞い、ヘリオスから文化が発信されることを願った」と想いを話す。


作品名

街の朝

作者名 丹羽建生(たけお)
制作年

1998(平成10)

材質/技法

木彫刻・着色

規格 200cm×134cm×70cm

展示中『広報なんと2012年3月号』掲載

作者は、1949年、南砺市(旧福野町)に生まれる。福野高校卒業後、故彫刻の巨匠円鍔(えんつば)勝三(かつぞう)氏に師事し、45年間、日展を舞台に活躍。現在まで2回の特選受賞や、審査員を務めるなど日展評議員として活躍されています。また、郷土の作家として「南砺市いなみ木彫キャンプ‘07」にも招待参加されるなど、神奈川県川崎市に在住しながら故郷との交流を密に活動されています。

本作品は、いなみ国際木彫キャンプ開催の翌年(2008)、南砺市に寄贈された日展出品作「街の朝」と題された作品です。

ごみ置き場の残飯を狙うカラスや猫がユ-モラスに表現され、丹羽氏の住む都会の早朝の風景が刻まれています。表面は、黒いアクリルカラ-が塗られ、一見強く感じるが全体に鑿(のみ)の痕が刻まれていることで、作品に温かみがあり、丹羽氏の作品への優しさが感じられる作品です。


作品名

青不動明王立像

(あおふどうみょうおうりゅうぞう)

作者名 斉藤光琳(こうりん)
制作年

1986(昭和61)

材質/技法

木造・材質 楠

規格 257cm×105cm

展示中『広報なんと2010年7月号』掲載

斉藤氏は、昭和12年、旧福野町野尻に生まれる。当初は、日展作家の武部豊氏に師事し日展や県展を舞台に活躍された。現在は仏師として、井波に工房を構える。

「青不動明王」の由来は、梵名(ぼんめい)阿遮羅曩駄(あちゃらなーとは)といい、不動または無動と呼んでいる。密教の五大明王の一尊で主尊とされていて、大日如来が一切の悪魔を降伏せんがための変化身といわれている。

本体の形像を見ると、青黒色の裸体で眼を凝らし、両牙を上下に噛んで片眼を開き右に剣、左手に羂索(けんさく)を持ち、烈々たる大火焔(たいかえん)を背負っている姿は、青不動に代表される鎌倉時代の作者「運慶」の作風を題材に、斉藤氏が制作されたものです。青不動明王は「不動明王中の不動明王」の地位を占め、日本各地の寺社仏閣で守り本尊として信仰が篤く、歴史的・芸術的観点からも 国宝とされるものが多く現存されている。