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長﨑莫人作品

各作品の解説は、南砺市広報『広報なんと』内「南砺市の文化財と美術品のご紹介」というコーナーで当館学芸員が執筆したものです。(2020.4月号で当コーナーは終了しています。)


作品名 アングレムスケッチ
作者名 長﨑莫人
制作年

1995(平成6)

材質/技法 デッサン
規格

喜知屋にて展示中

1992(平成4)年から2011(平成23)年の間、フランス・アングレム市で開催されている世界的なワールド・ミュージック・フェスティバル「ミュージック・メティス」と福野の「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」のスタッフ派遣等の相互交流が行われていました。
スキヤキのボランティアスタッフを中心に、町長、町職員、福野の文化芸術団体など、毎年メンバーを変えてアングレムを訪れ、ヘリオス収蔵作家のご縁から長﨑氏もその一員として1995(平成7)年6月に特別参加しました。今回の展示はその際に描かれたスケッチです。
長﨑氏はアングレムへ着くと、早朝から夕暮れまでスケッチブック、カメラ、大学ノートの3点セットを持ち、気に入った風景を見つけるとスケッチし、カメラで撮影。ノートには天気や日時まで細かく記録したといいます。
スケッチ横の文章は当時のスケッチと一緒に記録していたメモです。描かれた風景とその空気感をお楽しみください。


作品名 安居の森・冬
作者名 長﨑莫人
制作年

1993(平成5)

材質/技法 日本画
規格 額装95cm×187cm

『広報なんと2016年2月号』掲載

1994年、福野文化創造センター開館1周年記念企画展「福野を描く12人展」では県出身の作家12名に福野の建造物や風物を題材に取り上げてもらい、長﨑莫人氏には、安居の森の「アベマキ林」の四季を描いていただきました。

長﨑莫人氏は、朝日町の出身で富山大学時代「県展」に油絵を出品した際、旧福光町に疎開中の棟方志功氏にその才能を認められ、半世紀以上にわたり、ひたすら独自の画風を貫き日本画家として大成されました。

その画風は、生命感溢れる躍動美と、静寂の中にも烈々と語りかけてくるような自然美にあふれ、氏の飾り気のない真撃な人間的魅力を感じさせてくれます。

本作は、雪で覆われた安居の森のアベマキ林を隙間なく描くことで、雪の明るさが遠くまで透明に写し出されています。また、針葉樹をはじめ多種の木々がよく描かれ、重なり合う黒色の幹や枝が雪景色に映え、優しく暖かみのある心がなごむ作品です。


作品名 峡谷(V字谷)
作者名 長﨑莫人
制作年

1974(昭和49)

材質/技法 日本画
規格 額装162cm×112cm

『広報なんと2015年6月号』掲載

長﨑莫人氏は1929年に現・朝日町に生まれ、富山大学在学中に校庭のポプラを油彩で描き「富山県展」で優秀賞に輝きます。その時の審査員だった版画家の棟方志功に激励を受けたことがキッカケで画家として進む決心をします・卒業と同時に上京し日本画家としての才能が開花します。1960年代には岩崎巴人や谷口山郷とともに「日本表現派」を立ち上げ、その若手旗手として活躍し、大きな足跡を残します。その作風は、伝統としての日本画に呑み込まれることのない躍動感溢れる筆致体と墨色の変化を特長としています。

莫人氏が描く対象物は主に山岳や石仏であり、黒部峡谷の岩魂に魅せられ、峡谷の雄大さを四季を通して描いています。写実に頼らない墨彩による荒々しい線描は自然の厳しさや壮大さを感じさせます。本作品に描かれたV字谷は、黒部川の上流にあり飛騨山脈と立山連峰を分断する最も険しい峡谷とされ、名前の通りのV型の斜傾がカーモンブラックの墨線で鋭く濃く表現されています。


作品名

中国・龍門石窟の鷹舎那悌

(りゅうもんせっくつのるしゃなぶつ)

作者名 長﨑莫人
制作年

2004(平成16)

材質/技法 日本画
規格 額装62cm×47cm

『広報なんと2014年10月号』掲載

広報なんと68月号に続き、長﨑莫人氏の世界の仏跡巡り第3弾になります。

今回は、中国河南省落陽郊外にある「龍門石窟の慮舎那悌」 を紹介します。

龍門石窟は、敦煙莫高窟(とんこうばっこうくつ)、雲岡石窟(うんこうせっくつ)とともに、中国三大石窟と並び称されています。貴重な石窟で、2000年には世界文化遺産に登録されています。

岩山一面に造型された三体仏の中で最大の慮舎那悌は高さ17メートルで奈良の大仏よりも高く、龍門でもっとも芸術性の高い仏像とされています。その高さゆえに文化大革命による破壊は免れましたが、両手の姿が欠損しています。その顔立ちは則天武后(そくてんぶこう)に似せて彫られたとも伝えられ、本来中性的な仏像とはいえ、どことなく女性的な優しさが感じられます。


作品名 インド・マドラス州立博物館の仏陀
作者名 長﨑莫人
制作年

2004(平成16)

材質/技法 日本画
規格 額装62cm×47cm

『広報なんと2014年8月号』掲載

作者の長﨑莫人は、1940年代に旧福光町に疎開していた棟方志功にその才能を認められ、1950年代に取り組んだ日本表現派の旗手として活躍した朝日町出身の日本画家です。

本作品は、広報なんと6月号に紹介した「中国石窟三尊仏」に続く、長﨑莫人氏の仏跡巡りで描いたインドのマドラス博物館で見た仏陀を墨彩と金泥で描いた作品です。

インドのマドラス州立博物館は、アマラーブァティーの仏教彫刻で有名であり1851年に創立。インドでは二番目に古い総合博物館です。アマラーブァティーの浮彫は石灰岩の肌合いを生かした南インド独特の繊細な彫刻です。

仏陀の光背になる部分がストウーパ(仏塔)になっていて、飛天や周りの人たちの表情は楽しく、手に持っている楽器を奏でながら楽しんでいる様を巧みな技術で表現しています。


作品名 中国石窟三尊仏
作者名 長﨑莫人
制作年

2004(平成16)

材質/技法 日本画
規格 額装62cm×47cm

『広報なんと2014年6月号』掲載

長﨑莫人氏は1929年に現・朝日町に生まれ、富山大学在学中に作品「ポプラ」を出品され入賞を果たします。その時に審査員を務めていた版画家・棟方志功に激励を受けたのが機で画家を目指し上京します。才能は開花し莫人独自の日本画の表現法を確立しました。

長﨑氏の筆致の特徴である済の線描は近年、インド・中国など海外の仏跡をめぐり、仏像や建造物を対象に発揮されています。

本作品は、中国石窟寺院の石窟三尊仏を描いたものです。三尊仏とは三者一組とする仏像配置の一形式です。中央の中尊(ちゅうそん)は阿弥陀仏像・左右の脇侍(きょうじ)で左側は観音菩薩、右側は勢至菩薩とされています。彫刻は、磨崖仏(まがいぶつ)という自然の巨石や岩壁に直接掘る技法でま全体の輪郭を墨で優美に描き、三体の空間を金泥を用い濃淡色で描き幻想的に表現されています。その中に浮かぶ阿弥陀仏の泰然自若のお姿、両脇の菩薩の穏やかな笑みが印象的です。


作品名 雪山
作者名 長﨑莫人
制作年

1965(昭和40)

材質/技法 日本画
規格 額装106cm×75cm

『広報なんと2013年1月号』掲載

長﨑莫人氏は1929 (昭和4)年に現・朝日町蛭谷に生まれる。富山大学在学中に油絵を学び、作品「ポプラ」を県展へ出品し知事賞を受賞した。その際、審査員を務めていた中に福光町に疎開 していた版画家・棟方志功の目に留まり絶賛されたのを機に画家を目指し上京。その後、日本画に転向才能が開花する。

1958年、色彩そのものがもつ表現力や水墨画法に着目し、主観的表現法を推し進めた「日本表現派」を結成。主力の一人である長崎氏は、技法無視の荒々しい「かきなぐり」から出発したが、やがてこれに逞しい構成、深い自然観照を加えて、山岳、海、農村、畑などをモチーフに、野生の息吹を感じさせる秀作を次々に生み出し画風を確立した。「雪山」は従来の強烈な色彩とは打って変わり、雅致に富んだ深い色調で故郷の山(黒部峡谷)を描写。しんしんと降る雪景色からは、古里の山に見る静謐な表情を示している。

なお、本作品は12月からヘリオスのアトリウムにて展示しています。


作品名 段々畑
作者名 長﨑莫人
制作年

1965(昭和40)

材質/技法 日本画
規格 額装106cm×75cm

『広報なんと2011年7月号』掲載

長﨑氏は1929年、現朝日町に生まれる。富山大学在学中、県展で入賞を重ね、審査員をつとめた疎開者の版画家・棟方志向の目に留まり絶賛されたのを機に、画家を目指して上京した。後に従来の日本画から脱皮した主義主張を唱えた革新的な画風を確立した。

1960年代、色彩そのものがもつ表現力や水墨画法に着目し、主観的表現法を推し進めた。「日本表現派」の主力長﨑氏は、技法無視の荒々しい「かきなぐり」から出発したが、やがてこれに逞しい構成、深い自然観照を加えて、山岳、海、農村、畑などをモチーフに、野生の息吹を感じさせる秀作を次々に生み出した。「段々畑」は畑シリーズの代 表作とされ、北陸の暗い情念を表現するために墨の黒さに満足できず、より黒いものを求めて、カーボンブラックを使った生命感溢れる作品である。


作品名 夏山A
作者名 長﨑莫人
制作年

1970(昭和45)

材質/技法 日本画
規格 額装54cm×46cm

『広報なんと2009年9月号』掲載

作者は1929年、朝日町生まれ。富山大学在学中に校庭のポプラを描き、「富山県展」で入賞。その際、審査員だった棟方志功の絶賛を受け、芸術に対する強烈な影響を受けました。卒業と同時に上京し日本画家としての道を歩み、1960年代は「日本表現派」の旗手として活躍。同氏の作品は、伝統としての日本画に呑み込まれることのない躍動感溢れる画風を特長としています。

本作品は、1970年に制作。作者の特徴である黒と緑を基調とした作品は、富山の山の表情をよく語っていて、自然との強い絆から生まれた作品です。 山、畑、林と長崎絵画の三大自然は、まさに富山の風土そのものを実証してくれる作家の一人と言えます。